かつて幸福巴士(幸せのバス)や夢幻巴士と呼ばれたバス路線がありました。台中市の豐原から梨山を結ぶ6506路がそれです。
まずはごく簡単にこの路線の歴史について説明したいと思います。元々旧台中市~梨山間は中部橫貫公路谷關経由でバスが運行されていましたが、1999年の921大地震で道が寸断されてしまい、運行不能となりました。そこで霧社・合歡山経由で大回りする臨時路線が設定され、後に路線番号が与えられて6506路となります。末期は豐原発に短縮されましたが、基本は変わりません。
この大回り路線は景色の素晴らしい清境農場~合歡山~大禹嶺を経由するため人気のある路線であり、またいくつもの特異な要素を持った路線でもありました。
・片道175kmにもおよぶ最長一般路線バスで、所要時間は5時間以上
・途中標高3275m地点を通過し、3000m以上の高地を走る唯一の路線
・路線は台中市→南投縣→花蓮縣→南投縣→台中市と3縣市に跨がり、唯一花蓮縣を走行する台中所属のバス
・1日上り下り各1本のみ
私も大好きでもしお勧めの路線を聞かれたら真っ先に挙げる路線でした。臨時と言いつつ災害区間は長らく開通せず運行は18年にも及びましたが、寸断された道路の修復が進んだのを機に昨年惜しまれつつも廃止となり、本来のルートを経由する865路へと置き換えられました。
そのためもう乗ることはできないと思っていましたが、修復された道路が集中豪雨で再度通行不能になってしまい、修復が済むまでの3日間限定ではありますがなんと迂回ルートが復活するという告知が出ました。どうにか都合をつけて乗りに行く手配をしていましたが、バス会社に確認すると修復が長引き6月末までは続けるとの回答。そこで一週間延期、さらに急な帰国でもう一週間延期し6月7日~8日にかけて乗車してきました。
起点は豐原客運の豐原ターミナル。
昔ながらの雰囲気は残す良いターミナルです。
のりば案内はありませんでしたが、確認すると以前と同じのりばから同じ9:10に発車しますとのこと。頭上には消された梨山ゆきの表示。
実は復活したこの路線、厳密には6506路ではありません。865臨という別の路線で、あくまでも865路の代替という位置づけです。運行ルートはまったく一緒なのですが、一つ大きな違いがあります。それは途中停留所が東勢一箇所のみであるということです。6506路には80以上の停留所がありましたが、臨時路線は東勢を出ると4時間以上ノンストップなのです。途中での乗降は認めれられません。
6506路が廃止になる際には予約制になるくらいであったので連休初日ということもあり気合を入れて1時間前に来たのですが、誰もおらず拍子抜け。時間が近づくとポツポツ現れ6名で発車しました。早く来たおかげで運転席真横の特等展望席を確保。
しばらくは豐原市街を走行。
一旦郊外へ出て
30分で東勢ターミナルへ到着。早速1名下車して乗車も1名。
ここには865路の表示がありました。
東勢の市街地。割と大きな町です。
台8線(国道8号線、直進方向)と台21線(同21号、右折方向)の分岐点。本来はここを直進して谷關を経由し梨山へ至る路線でしたが、このバスへ右へ曲がり國姓~埔里~霧社と繋ぎ迂回していきます。
バスが走るのは梨山への最短ルートではなく、また市街地では時々幹線道路を外れ市街地中心部を通る道を走ります。
これは6506路の路線をなぞっているためですが、前述の通りノンストップのため止まりません。つまり止まりもしないのに無駄に時間のかかるルートを走行りしているわけですが、その理由をを推察してみました。
・臨時運行のために新しいルートを設定するのは大変なので旧6506路のルートを流用
・しかし途中の停留所は廃止して撤去してしまっており、わずかな期間のため復活はするのは無理
→最低限の停留所だけ設置してとりあえず梨山まで行けるようにしよう
ということで、極力早く運行を再開するため努力した結果なのではないかと思います。
埔里を出てしばらく行ったところでコンビニ裏の駐車場に入り、ここで途中休憩となりました。丁度2時間が経過しています。
休憩時間はなんと30分。実にのんびりとした運行です。実は6506路もここで休憩していましたが、当時は10分くらいだったように思います。
停車中のバス。
ドライブの休憩に丁度いいようで、次々車が入ってきていました。
リフレッシュしたところで運行を再開。ここからどんどん山の中へ入り標高を上げていきます。
霧社事件で有名な霧社の町を通過。
街を出るとすぐに分岐があり、直進する台14線の本線道は廬山温泉方面ヘ向かいその先で行き止まり。バスは左手の支線の方へ入っていきます。
(後半へ続く)