前回高雄の眷村(軍人村)を紹介しましたが、台北にもありますのでこちらも取り上げたいと思います。北投にある中心新村がそれで、元を辿れば日本軍の療養所として建てられたものが戦後軍管轄の三軍總醫院北投分院に引き継がれ、その関係者が住む眷村となっていました。
最近まで現役であり、廃村前から保存が決まっていたことで特に完全な状態で保存されている眷村となっています。

中心新村の最寄り駅は新北投駅。温泉街に続く道の一本左側の坂を上がっていくと数分で到着

一歩中へ入ると数十年前にタイムスリップしたかのような感覚に襲われます

少し入ったところで振り返り。まるで映画のセットのようですが、さすがに最後までこの様子であったわけではなく修復の際に復元し昔の風景を再現しています

時代を感じさせる標語

路地も雰囲気があります

まずはまっすぐ奥の方まで進んできました。何かの撮影が行われているようです

当時の掲示物が再現されていたり仕事が細かいですね

王哥柳哥遊台灣は1959年に公開された台湾語映画代表作の一つ。今でも売られてる駄菓子のパッケージに二人は登場しています

突き当りにあるこの建物は公衆浴場。村内にこの施設があるのは眷村の中でも唯一でした。
残念ながら公開はされていませんが、いつかされたら是非中を見てみたいですね

浴場前から再度振り返り

さて、メインストリートの両側に並ぶ建物はその多くが見学可能となっていますのでまず入口から奥に向かって左側から紹介します。こちらの建物では

軍人さんたちを後方で支えた婦人方にフォーカスした展示がされていました

その隣の広い建物の中は

ミニ売店と休憩所がありました

奥の部屋は貸しスペースになっているのか何故かスターウォーズ展の準備中

外に出て路地を抜けると何やら広い空間に出ましたがここには誰もおらず説明もありませんでした。これからまた何か増えていきそうな感じです

今度は右側へ。最近は地下化で減っていますが、風情という観点からすると電柱はいい仕事しているなといつも思います

こちらは特別展で、以前5か所の眷村に住んでいた人を呼んで語ってもらった記憶に残る光景やストーリーを展示物にしています



「心の窓」というタイトルが付けられているため多くの窓枠が飾られていたのが印象的でした


続いてこちらは診療所。病院関係者の村ということで村内にこういった施設があるのも納得です


その一角にあったのがこの中山堂

昇進や結婚などのお祝いごとに使われましたが、当時結婚することは非常に困難でした。安月給の上今では信じられませんが独身軍人には結婚禁止令が出ていたのです。それはなぜなのか?スタッフの方に尋ねてみると「結婚して土着され(中国)大陸に帰りたくなるなると困るから」とのお答え。当時国民政府は一時的に台湾へ逃れているにすぎず、やがては大陸に帰るという立場でしたので言われると納得の理由です

この雰囲気の中を歩けるだけでも十分満足でしたが、さらに展示も豊富でとても見ごたえるのある施設でした。見学中「まだあまり知られていないのにどうやってここをお知りになったのですが?」と声をかけられました。これだけ力が入っているのに知られていないとはもったいないので是非もっとPRしてほしいと思います。
台湾全土には保存された眷村が13ヶ所あるとのことなので、今後他も回ってみたいですね