以前は当たり前に運行されていた新營糖廠の五分車(トロッコ列車)。中興車站~八老爺車站間を結び、最も運行距離が長く乗り応えがあったのですが2020年に老朽化などにより運行停止となってしまいました。それから2年ほどが経過し、復活のニュースが!しかし復活したのは意外にも元の区間とは旧工場を挟んで逆側の新營車站~中興車站間で、言ってみれば新路線が開業したようなものでした(線路自体は昔のものが残っていた)。
それからさらに1年。復活運行した7往復のうち1往復が期間限定ながら勝利號で運行されるというニュースが流れてきました。かつて台湾中南部には多数のサトウキビ鉄道で旅客列車が運行されており、その貴重な生き残りである3両のうち1両となります。
その貴重な復活運行列車に乗ってきました。
勝利號で運行されるのは朝イチ9:10発の便。私は前日から新營入りしていたので問題ありませんでしたが、中南部以外在住の場合は当日来るのが厳しい時間。30名限定となっているので満席になったら大変ということで早めに向かいます。線路脇を歩いていると勝利號が車庫にいるのが見えました
中興車站に到着。大きな跨線橋が目に付きますが、これは製糖工場社員通勤用のもの。当時列車の本数が多く開かずの踏切になってしまい直前で遅刻する社員が続出したため、会社が便宜を図り設置したものだそうです
発車25分前に到着しましたが、この時点ではもう一人おじさんがいるだけでした。チケットは8:50から発売が始まり、サクッと購入。一般トロッコ列車は往復60元ですが、勝利號便は80元です
ほどなくして踏切の警報機が鳴り、車庫にいいた勝利號が出庫してきました
ゆっくり踏切を横切ります。ドアは開けっ放し
所定の位置に停車。意外だったのは従来のホームではなく別途新しいホームがしかも進行方向路は逆の八老爺方へ設置されていたことです。案内の通り改札は3分前からですが、よい席を取るため早めに列びます
時間になり乗車開始
車両は1949年の製造ですが、今回の運行にあたりレストアされているので車体はピカピカです
先頭に列んだので最初に車内へ入りきれいに撮影することができました
レトロな座席
運転席の様子。メーター類は新品に交換されていました
ご覧の通り半室なので反対側は客室となっており、空いた窓から前面展望できるここが間違いなく特等席です。結局乗客は10名ほど、鉄道ファンは早い時期に来てしまったのかその姿はなく静かでした
そしていきなり終点の新營車站。往路は動画撮影のみ行って写真は撮らなかったので乗せられるものがないのです。
ここからの乗車も可能ですが、列車が入ってくるまで係員もおらずきっぷの販売もないので待っている人はちょっと不安かもしれません(運賃は降りてからきっぷを購入)。停車時間は短くすぐ折り返します
復路は動画撮影しながらスナップショットも撮りました。新營車站を出てすぐ右手に貨物駅のようなものがあり、サトウキビの積み込み施設かと思っていたら台鹽、つまり塩の積み込み用とのこと。七股の塩田などで作られた塩がここまで運ばれてきて台鐵に積み替えられ、輸出港などに向かったようです
ちなみにこれは帰りがけに撮ったこの建物の裏側ですが、台鹽のロゴがあり今でも製塩会社が所有しているようです
踏切通過
線路を観察すると三線軌条になっていますが、もちろんこれは台鐵列車が乗り入れていたため
車庫を通過。最初の写真に写っている勝利號は留置線ではなく本線上に停まっていたことになります
終点はもうすぐ
踏切と跨線橋が見えてきました
ゆっくりとホームへ入線。奥に見える路盤が新しくなっており、八老爺方面も修復は進んでいるようです
下車後は製糖工場のお約束、アイスクリームをいただきます。新營は廃業してしまっているので他所の工場で作られたもの
帰りがけには次の便に乗るお客さんが団体含め大勢いました。この人数は勝利號だと捌ききれないので団体さんが来る前、9時台に設定したのはなるほどという感じです
さて、最後に跨線橋を体験して帰ることにしました
跨線橋から見た勝利號
わずか片道1kmほどの路線ですが、十分楽しむことができました。この列車は今月末までの土日に引き続き運行されます